2015年1月29日木曜日

日暮旅人さん感想 ネタバレ編

先日書いた、日暮旅人さんの感想ですが、
もちょっと書きたいことがあるので追加します。

今回はネタバレを多分に含んでますので、ご注意ください。


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旅人と陽子の関係について

高身長、中性的な顔立ち、頭がいい、優しい、こども好き、等々
女性キラーな主人公、旅人さんですが、
陽子さんはやっぱり彼を好きになってしまいます。
その経緯はよーく分かります。

最初は、昔好きだった「たぁ君」を現在の「たぁ君」である旅人に重ね、
幼い日の淡い恋心を今、感じているように錯覚する。
しばらくしてこのことに気づき、距離を取ろうとする。
でも旅人の身体のことを知り、不器用な姿を見て、母性本能がうずく。
旅人は女性キラーだし、放っては置けないし、
もう好きになるしかないでしょう。


でも、旅人さんは?
彼が陽子の素性を知ったのは、彼女の無くし物を探し出した時だと思います。
初対面の時は陽子さんの名前に反応しただけでしたが、
仮面ライダーを見つけて、幼い日のあの子だと確信したのでしょう。
それで、利用しようと近づいたんだと思います。
今となっては、悪い男に引っかからないように迎えに行っちゃうくらいには
陽子に好意を寄せているようですが、
いつからそうなった!?
てことで疑問なんですね。


完全に”オチた”のは電話のシーンでしょう。
だって15年以上心の支えだった”復讐を遂げて死ぬ”
という決意を覆しちゃうくらいですから。
テイや雪路も大切な存在だけど、彼らは旅人を止めることができませんでした。
つまり、彼らとは別格。
ではいつから?

それまでは、陽子に対する感情について特に書かれてないと思うので、
今から死ぬって時に彼女への想いに急に気づいちゃったのかしら?
それとも、どうせ死ぬからと気づかないふりをしていた想いが、
ここに来て無視できないほど大きくなっていた?
恋ぞつもりて淵となりぬるって感じ?

彼は陽子の感情もその目に視えているはずですよね。
復讐に生きる自分に向けられた好意はどう映っていたのでしょう?
最初の頃は陽子をからかっているようなシーンもありました。
(「これからも一緒にいてください」「私も同じ気持ちです」「テイも喜びます」「!?」のくだりです)

思い返してみると、旅人の他人に対する感情(好きとか嫌いとか)が出てきたのは、
6巻目の最後、旅人が陽子をデートに誘うところくらいでは?
作者はわざとやってるのかしら。
もしわざとなら、これからばんばん旅人の感情が描かれるってこと?
それは読みたいような読みたくないような…。
基本的に根暗で腹黒いやつだと認識してるので、感情が見えるのは怖い気がします。



とりとめもないですが、まあなんにせよ、2人が幸せになることを祈っています。




2015年1月28日水曜日

日暮旅人さん感想

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たまたま借りた

「探偵・日暮旅人」シリーズ

6巻の壊れ物まで読みましたが、なかなか面白かったので感想書きます。
まずはあらすじ。

保育士の山川陽子は勤務先で預かっている百代灯衣の父親、日暮旅人が
探しもの専門の探偵をしていることを知る。
旅人は目に見えないモノを”視る”ことで探しものをしていた。


正直、文章はうまくないです。
混乱することもしばしばありますが、それを差し置いても面白いと思うのは

個性的なキャラクター と 主人公の目の設定

が面白いおかげだと思います。


キャラクターはほんとにいいですね。
私的メインキャラクター説明。

日暮旅人
 「ひぐれ」って読んじゃう。天然に見えてすべて計算。がっつり腹黒。
お人好しは演技。女性をたぶらかすなんてお手の物。
でも(物理的)不器用だからみんな騙される。

山川陽子
 旅人のファン。メガネが6割増しは激しく同意。こっちは本当のお人好し。
母性が強すぎてちょっとうざいけどちょっと羨ましい。苦手なキャラ。

百代灯衣
 作中随一の女子力を誇る。結婚情報誌とか見ちゃうおませな5歳児。
パパLOVE。父親に似て計算高いが可愛さでカバー。
彼女のパジャマは私も欲しい。

雪路雅彦
 旅人のファン。超絶お坊ちゃん。様付けはやべえ。
自ら巻き込まれにきたかと思いきや完全にとばっちり。
若い時は悪ぶるよね。お人好しじゃないけどまじいい人。


この4人は誰でも主人公になれるでしょうってくらい設定が盛り込まれてて
ちょっと盛り過ぎじゃない?とか思わなくもないんですが、
みんな旅人のファンなので、結局主人公は旅人だよねって感じです。

それからこの強烈な個性をもつキャラクターがそんなに出張らないのもいいです。
基本的に短編をつなぎあわせたような構成で、1話1話に別の主人公がいます。
そこに旅人が探偵として関わっていく。
なので彼らの情報は会話の端々から読み取っていくか、
彼らが主人公の短編を読むかしか得られないというわけです。
登場人物の日常や過去を追っていく、という面白さがあります。


もう一つの面白い要素、旅人の目についてですが、
これはまあ簡単にいうと作中にもあるように、視界がマンガのように見えているようです。
音は文字に、匂いは色に、味も重さも、意志や愛までも。
この目がなくっちゃあ、この話は始まりません。

この目を使って隠し味を探したり、目の前に横たわる策略に便乗してみたり。
そんなこともできるの!?
という驚きがあるので、なかなか展開がわかりません。
つまり常識的に読んではいけないのです。

しかし、不思議な目の能力を見せつけられる度に、
なぜこのような特殊な目になったのか。
彼はなぜ哀しい目をしているのか。
という疑問を抱かずにはいられません。
この特殊な目が”視ている”景色と、その背景に思いを巡らせる面白さがあります。


ちなみに、特殊な目になった背景は4巻までに明らかにされます。
ここで一旦話は終わり、5巻からは4巻までの補完とその後の話です。
と思ってたら。

毎回、不穏な雰囲気を醸し出していたエピローグが、
5巻以降も続くじゃないですか…!

このエピローグ、ほっこりする話の後で、鳥肌たつようなことが書かれてるから、
そのギャップで余計に心がざわつくんですよね。
本編も、ハートフルな話とサスペンス調のが混ざってて、気を抜くとやられます。
こういうギャップも私の心を惹きつけてるのかもしれません。