名探偵コナンに登場する黒の組織のメンバー、
バーボンの目的について考察してみた。
彼は組織と公安の2つの顔を持っているため、
どういう目的で、どういう立場で行動しているのかが分かりにくいところが多々ある。
また、個人的な行動も見受けられ、さらに分かりにくくなっている。
そこで私なりに整理してみた。
”バーボン”の目的は2つ
①シェリーの捜索
②赤井秀一の死亡確認
67巻「吹雪の中の真実」
キール「組織を裏切ったシェリーっていう科学者探しに動き出したって聞いたけど…」
この発言からバーボンの表向きの目的は”シェリーの捜索”である。
78巻「ミステリートレイン」
バーボン「あの男に変装し、あの男の関係者の周りをしばらくうろついて反応を見ていたんです…お陰であの男が本当に死んでいるということが分かりましたけどね…」
この発言から彼には”赤井秀一の死亡確認”というもう一つの目的があったことが分かる。
しかもこの目的は
67巻「静かなる戦い」
ジン「…あの方の許しは…受けいているのか?」
ベルモット「ええ…ボスは慎重居士…石橋を叩きすぎて壊しちゃうタイプだから…」
ジン「フン…独断専行か…相変わらず気に食わねぇ野郎だぜ…」
から推測するに、
バーボンがボスに赤井秀一が本当に死亡しているかベルモットと協力し確かめたい旨を伝え、
ボスがそれを了承したように捉えることができる。
ボスは赤井秀一をシルバーブレッドと恐れているようだから、
バーボンの申し出を受けたのもうなずける。
ここでこれらの目的達成の為に彼がとった行動をみてみる。
バーボンの主な行動
①毛利探偵の弟子となる
②火傷を負った赤井秀一に変装する
78巻「謎解きの鍵」
ベルモット「キールの一件でシェリーと関わっている疑いのあるあの探偵に張り付きたいって貴方が言うから、色々サポートしてあげたけど…」
75巻「炎へと回帰する運命」
安室「ですからこうやって毛利さんのお側でバイトして…毛利さんが関わる事件に同行させてもらおうと…」
つまり彼が毛利探偵に弟子入りしたのはシェリー捜索のため。
すぐ近くにいることで、毛利小五郎とシェリーが接触しないか、
または二人の関係を探ろうとしたと思われる。
最終的に、マークした甲斐あって毛利探偵事務所のPCでシェリーの動画を見て、
ミステリートレインへと繋がる。
一方で彼はもう一つの目的のため、赤井秀一に変装して周囲をうろついている。
変装したのは3回。
1回目、ジョディ捜査官の前に現れる。(銀行強盗事件)
2回目、キャメル捜査官の前に現れる。(赤いTシャツ事件)
3回目、世良真純の前に現れる。(探偵たちの夜想曲後)
確かに、ミステリートレインでの彼の発言と一致する。
目的が分からない行動
①若い女探偵(世良真純)への興味
②阿笠博士への興味
③警視庁へ来た理由
④伊達刑事への墓参り
以上は明確にされていない行動である。
①若い女探偵への興味
76巻「探偵たちの夜想曲」
目暮「君の他にもいるんだよ…最近、毛利君と一緒に現場にチョロチョロ顔を出す…若い女探偵がな…」
安室「へぇー…若い女性の探偵ですか…」
これは”若い女性”、”最近”、”毛利探偵と関わっている”からシェリーを連想したものと考えられる。
その後、目暮警部の言う女探偵が誰なのか安室が知った描写は無いようだが、
世良真純と接触することで、再び赤井の変装をすることとなる。
(安室は世良が赤井の妹だと知っている 88巻「仲の悪いガールズバンド」)
②阿笠博士への興味
76巻「探偵たちの夜想曲」
安室「阿笠博士…?」
蘭「コナン君、いつも発信器付きの探偵バッジ持ってて…それを追跡できる眼鏡をその博士が作って持ってるんです!!」
安室「ホォー…」
76巻「高木刑事からの贈り物」
安室「僕も残念だよ…せっかく噂の阿笠博士に会えると思ったのにね…」
これも”博士”という単語から科学者だったというシェリーを連想しただけではないかと思われる。
80巻「工藤様方配達便」
安室「へーここが噂の阿笠博士の…でも今日は遠慮しておくよ…用もあるし…」
これはミステリートレイン後、シェリーが死亡したと思っている時の発言である。
阿笠博士に特別興味を持っている感じではない。
つまり博士をシェリーと疑ったことはあったものの、シェリーの死亡を確認した今、
博士に興味がなくなったと考えるのが自然である。
しかしこれが、この後の緋色シリーズへと繋がるのではあるが…。
③警視庁へ来た理由
76巻「高木刑事からの贈り物」
安室「僕も残念だよ…せっかく噂の阿笠博士に会えると思ったのにね…」
「丁度、僕も警視庁に来るように言われてたから…もう終わったけど…」
「まぁ、ここに来たのは別の用があったのもあるけど…」
「あ…気にしないでくれ…もう用は無くなったから…」
元々の用事は探偵たちの夜想曲の一件についての事情聴取。
しかしその他にも警視庁に用があったと言う。
しかもその用は無くなってしまった…。
これは一見、シェリーかもしれない阿笠博士に会えると思って来たが、会えないと分かった。
→もう用は無くなった。
とも取れる。
しかしその後の安室の表情や場所が警視庁であることを考えると、
公安警察官である降谷零としての用だと考えるほうが自然である。
つまり”バーボン”の目的の為の行動ではないということである。
④伊達刑事への墓参り
77巻「遅くなった墓参り」
安室「静かに瞑れ…友よ…」
話の流れからして伊達刑事と安室は友人である。また、
77巻「遅くなった墓参り」
高木「警察学校での成績もトップだったって聞きましたよ?」
伊達「バーカ、そいつはガセネタ、俺はいつも2番だったぜ…頭も体もアイツには一度も敵わなかったからな…」
高木「アイツ?」
伊達「お前のようなヒョロっとした優男だったよ…今はどこで何やってんだか…自分の力を過信して無茶してどっかでおっ死んじまってるかもな…」
この会話から、安室と伊達は警察学校の同期である可能性が高い。
つまりこの行動も降谷零としての行動であり、”バーボン”とは関係ないと言える。
降谷零の目的
前述のとおり、
③警視庁へ来た理由
④伊達刑事への墓参り
は降谷零としての行動だと予想した。
では、降谷零の目的は何なのだろうか。
③と④は一つの事件の最初と最後に挿入されているシーンであることから、
一緒にして考えたほうがスムーズだろう。
警視庁での無くなってしまった用事とはなんだったのだろうか?
これは「高木刑事に会う」だと予想する。
高木刑事は前日に北海道に行ってしまって会えないことが分かり、
「もう用は無くなったから…」
と発言した。
ではなぜ高木刑事に会いたかったのか。
それは警察学校の同期であり友でもある伊達刑事関連であろう。
伊達刑事について気になるのは二点。
1点目は、交通事故で亡くなったこと。
2点目は、高木刑事に託した手帳。
伊達刑事は交通事故で亡くなる
76巻「ワタル・ブラザーズ」
佐藤「なんか落とした手帳を拾おうとして、居眠り運転の車にはねられたって高木君が言ってたわ…」
「高木君もその場に居合わせたのよ…徹夜で張り込んで朝方2人で帰る途中で…高木くんに手帳の中の何かを見せようとして轢かれたらしいから…」
佐藤刑事の話を聞く限り、これは不慮の事故であるように思われる。
しかしいくつか引っかかる点がある。
伊達刑事の自殺した彼女、アメリカ人とのハーフのナタリー・来間の遺族について、
76巻「継承された旭影」
目暮「唯一の肉親である両親は、娘さんの遺体を引き取りに来られる途中で交通事故に巻き込まれて2人共、他界…」
つまり伊達刑事の彼女の肉親は数日の内に全員死亡したことになる。
しかも両親の死因は伊達刑事と同じ交通事故である。
さらに降谷零のセリフ。
77巻「遅くなった墓参り」
安室「静かに瞑れ…友よ…」
何か心残りや未練があるような言い方である。
確かに彼女との結婚間近で亡くなったのだから、心残りや未練があるのも頷けるが。
伊達刑事の手帳
77巻「遅くなった墓参り」
高木「…でも、この指輪は彼女に渡したかったです…伊達さんの最後のあの言葉は…」
伊達(こいつはお前に任せたぜ…)
高木「そういう意味だったでしょうから…」
この時の回想では、伊達刑事は自分の手帳を差し出している。
そこに挟まっていた指輪を見て、高木刑事は彼女への指輪を託されたと思っている。
しかしだ。
もし伊達刑事が託したのが手帳そのものだったとしたら?
その手帳に何かしら重要な捜査内容が記されていたとしたらどうだろう?
一連の出来事に別の解釈ができるようになる。
手帳を拾おうとして轢かれた→狙われていた
手帳が高木刑事に渡される→事件の解決を望んでいる
ナタリーが自殺→何か情報を持っていた可能性
ナタリーの両親が交通事故にあう→同じく狙われたか
降谷が高木刑事に会いに来た→手帳を見たかった
ただ、なぜ降谷が1年間も保存していた伊達刑事からのメールを
このタイミングで削除したかという疑問が残る。
やはり伊達刑事の心残りが解消されたということでこの話は終わったのだろうか。
単なる安室透=公安警察という伏線であった可能性も大いにある。
しかし主要人物と深い関係にあり、ここまでクローズアップされたのだから、
伊達刑事関連の話が今後も出てくる可能性は高い。
ベルモットとの関係
78巻「謎解きの鍵」
ベルモット「キールの一件でシェリーと関わっている疑いのあるあの探偵に張り付きたいって貴方が言うから、色々サポートしてあげたけど…」
78巻「ミステリートレイン」
バーボン「まぁ、変装させてくれたのは今回、僕の代わりにあの男に化けてくれた仲間ですが…」
以上からベルモットはバーボンの2つの目的、どちらにも協力していることが分かる。